平塚競輪場は、400mバンクでありながら「直線の長さ(54.2m)」と「風の影響」により、非常に追い込み(差し・捲り)が決まりやすいバンクとして知られています。
しかし、データを詳しく分析すると、S級戦とガールズケイリン、あるいはチャレンジ戦では「勝つための法則」が全く異なることが判明しました。
本記事では、約10年間・5,000レース以上の実走データを基に、平塚バンクの決まり手傾向を徹底解剖します。
平塚競輪の決まり手傾向|「差し」46%の圧倒的追い込みバンク
まずは全レース(S級、A級、チャレンジ、ガールズ含む)の総合データから、平塚バンクの全体像を把握しましょう。統計が示すのは、先行選手にとっての「過酷な現実」です。
全体データ分析:1着の45.89%が「差し」で決まる衝撃の事実
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約2回に1回は差し決着。
直線の長さが逆転劇を演出します。
全5,376レースの集計結果において、最も多くの割合を占めた決まり手は「差し」で45.89%でした。
ほぼ2レースに1回は、ゴール直前で番手選手や別線の追い込み選手が突き抜けている計算になります。平塚バンクにおいて「最後の直線で何かが起きる」というのは、単なる印象ではなく、裏付けのある事実です。
逃げの勝率は21.43%止まり|長い直線が先行選手を苦しめる
一方で、「逃げ」が決まる確率は21.43%に留まります。全国平均と比較しても低い部類に入り、先行選手がラインを引き連れてそのまま押し切るには、相当な脚力差や展開の利が必要です。
予想の際は、「先行選手が逃げ切れるか?」を考えるよりも、「誰に差されるか?」を考える方が、的中への近道となります。
捲り決定率は32.53%|自力選手のスピード勝負は十分に通用する
「差し」ほどではありませんが、「捲り」も32.53%と高い数値を記録しています。
平塚はカント(傾斜)が適度にあり、コーナーでスピードに乗せやすいため、後方からの仕掛けも決まりやすい傾向にあります。「逃げ」は不利ですが、「自力(捲り)」は十分に通用するバンクと言えます。
| 決まり手 | 回数 | 割合 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 逃げ | 1,152回 | 21.43% | 苦戦。押し切りは困難 |
| 捲り | 1,749回 | 32.53% | スピードがあれば決まる |
| 差し | 2,467回 | 45.89% | 圧倒的有利。基本はここから |
| マーク | 8回 | 0.15% | 稀なケース |
【クラス別分析】S級・A級・ガールズで変わる「勝つための法則」
「平塚は差し有利」という基本を押さえた上で、クラスごとのデータを分解すると、さらに鋭い戦略が見えてきます。特にS級の「差し」とガールズの「捲り」は、極端な数値が出ています。
S級戦は「差し」51.35%!逃げ切り困難な番手天国
最高峰のS級戦(966レース)では、追い込み有利の傾向が極限まで高まります。
1着の決まり手は「差し」が51.35%と過半数を超え、「逃げ」はわずか17.29%まで低下します. S級のレーススピードでは、平塚の長い直線を逃げ粘ることが極めて難しく、番手選手が絶好のタイミングで抜け出すケースが多発します。
※S級戦では迷わず「番手選手」を軸にするのがセオリーです。
A級戦は「差し46%・捲り30%」|S級よりは先行残りの目がある
A級戦(3,964レース)もS級同様に「差し(46.62%)」が優勢ですが、「逃げ」の割合が22.63%と、S級に比べれば5ポイント以上高くなっています。
A級ではラインの力関係に差がある場合、先行選手がマイペースで駆け抜けられるケースも散見されます。S級ほど極端に逃げを消す必要はありません。
ガールズケイリンは「捲り」52.69%!男子とは真逆の傾向に注意
最も注意すべきはガールズケイリン(446レース)です。ここでは男子のセオリーが通用しません。
1着決まり手の52.69%が「捲り」であり、「差し」は27.58%に留まります。ラインのないガールズ戦では、後方からスピードに乗って前団を飲み込む自力選手が圧倒的に有利です。平塚ガールズは「好位差し」よりも「大外捲り」が決まるバンクと覚えておきましょう。
チャレンジ戦の特異点|有力新人の「逃げ」は勝率70%超えの鉄板
追い込み有利な平塚ですが、チャレンジ戦の「強い新人」は例外です。
データによると、チャレンジ戦で競走得点1位の選手が「逃げ」の決まり手を持っていた場合、その勝率は70.6%に達します。さらに3車ラインを形成した際の得点1位の逃げ勝率は73.7%です。圧倒的な脚力差がある場合、バンク特性を無視して逃げ切ることが可能です。このパターンは「銀行レース」とも呼べる鉄板級の信頼度を誇ります。
決まり手から読み解く「2着・3着」の選び方とスジ車券
1着が決まれば、次は2着です。平塚では、1着が「差し」でも、2着が「逃げ残り」になるとは限りません。
2着は「マーク」が39.24%で最多|ラインワンツーが基本線
2着の決まり手全体を見ると、「マーク」が39.24%と最も多くなっています。
これは、勝った選手(主に番手選手)の後ろにいた選手や、ラインで追走した選手が2着に入る「スジ決着」が多いことを示しています。まずはラインでのワンツーフィニッシュを基本線に考えるべきです。
| 決まり手 | 割合(%) | 意味する展開 |
|---|---|---|
| マーク | 37.60% | ライン追走・スジ決着 |
| 差し | 29.25% | 3番手の強襲・別線の追い込み |
| 逃げ | 17.99% | 先行選手が残る(差し-逃げ) |
| 捲り | 15.17% | 捲り追い込みの不発など |
S級2着は「差し」28.57%|ライン違いの突っ込み(スジ違い)を警戒
しかし、S級戦の2着データには不穏な数値があります。2着の決まり手として「差し」が28.57%もあるのです。
これは「番手が差して1着(差し)、3番手も差して2着(差し)」というズブズブの展開や、別線の選手が捲り追い込んで2着に届くケースが多いことを意味します。
S級戦では、ラインの先頭選手が完全に沈み、番手と別線選手での決着(スジ違い)になるパターンを常に警戒する必要があります。
逃げ選手の2連対率は約39%|先行が「残れる」条件と「消える」条件
逃げ選手の2連対率(2着以内に残る確率)は、全体統計から逆算すると約39%程度(逃げ1着21.4% + 逃げ2着17.6%)です。
半分以上の確率で先行選手は2着にも残れません。特にS級戦では逃げの2連対率はさらに下がります。「風が強い」「別線も強力な先行型」という条件下では、逃げ選手を車券から外す勇気も必要です。
平塚バンクの特性と決まり手の関係性
なぜこれほどまでに「差し」や「捲り」が決まるのでしょうか。データとバンクスペックの関係性を紐解きます。
みなし直線54.2mの威力|4コーナーからの逆転劇をデータで証明
54.2m
400mバンクとしては長め
平塚のみなし直線は54.2mと、400mバンクの中では平均的〜やや長めの部類に入ります。しかし、データ上の「差し」決着率45.89%は、数字以上の直線の長さを感じさせます。
最終4コーナーを回ってからの直線で、先行選手の脚色が鈍ったところを、番手選手が交わすシーンが日常茶飯事です。
海風(バック向かい風)が「捲り・差し」を後押しするメカニズム
平塚競輪場は相模川の近くに位置し、海風の影響を受けやすいバンクです。特にバックストレッチで向かい風が吹く傾向があり、これが先行選手の体力を奪います。
結果として、風を受けて失速した先行ラインを、後方に控えていた選手が「捲り」や「差し」で捕らえる展開が誘発されます。これが「逃げ不利」データの一因となっています。
カント(傾斜)と「捲り」の決まりやすさ|スピードが乗るコース取り
ガールズケイリンで「捲り」が52%も決まる要因の一つに、カント(傾斜)があります。
コーナーでのカントを使って外からスピードに乗せると、直線入口で加速がついた状態で入ることができます。平塚はこの「外からの強襲」が届きやすい形状をしており、スピードのある選手にとっては仕掛けがいのあるバンクと言えます。
まとめ:決まり手データを活用した平塚攻略のセオリー
平塚競輪場は、単に「400mバンクだから平均的だろう」と考えて挑むと痛い目を見ます。過去10年のデータが教える攻略のセオリーは以下の通りです。
- S級戦:「差し」有利。迷わず番手選手から入る。
- ガールズ:「捲り」有利。自力のあるパワータイプを軸にする。
- チャレンジ:「逃げ」有利。「得点1位の先行選手」をチェック。
- A級戦:展開次第。両方の要素を加味して柔軟に。
逃げ選手の評価を下げる勇気|平塚の先行は「割り引き」が必要
S級戦での逃げ切り率は約17%しかありません。どんなに強力な先行選手でも、平塚では評価を一段階下げる「割り引き」が必要です。特に風の強い日は、先行選手が飛ぶことを前提に高配当を狙うのが賢い戦略です。
当日の風向きとライン構成を加味した最終予想の組み立て
データはあくまで過去の傾向です。これに「当日の風向き(バック向かい風ならさらに差し有利)」と「ライン構成(競り合いそうなら捲り有利)」を組み合わせることで、予想の精度は格段に向上します。
「平塚は直線で逆転がある」というデータを信じ、ゴール前でのドラマを想定した車券を組み立ててください。