直線はやや長めでカントは緩め。
比較的緩やかなカントと、吹きさらしの立地による風の影響が特徴。逃げる選手は長い直線の終わりが見えず失速しやすく、カントの助けを得て加速した追い込み選手が滑走路を滑るように突き抜けていきます。
先行選手にとっては「終わりのない絶望の距離」、追い込み選手にとっては「逆転の滑走路」です。
立川競輪場の真の攻略法は、全国16位という意外な直線の長さと、級班ごとに劇的に乖離する統計データの中に隠されています。本記事では、過去約4,700レースの全記録を解析し、立川で勝つための「決まり手」の真実を公開します。
立川競輪の決まり手傾向:全体データが示す「追い込み」の優位性
立川競輪場において統計が示す「差し」の強さは紛れもない事実。その理由をデータをもとに紐解いていきます。
【1着】「差し」出現率48.8%!全国16位の直線距離でも逃げ切れないバンク特性
立川競輪場のみなし直線は58.0m。全国42場の中で16位という、400mバンクとしては「平均よりやや長い」程度の数値です。しかし、1着の決まり手データを見ると、「差し」が48.84%と約半数を占めています。
なぜ特別長いというわけでもない直線で、これほど逆転劇が起きるのか。その鍵は、全国29位という「緩やかなカント(傾斜)」と、バンク形状に採用されている「レムニスケート曲線」にあります。
レムニスケート曲線は、コーナー出口で遠心力により外側に膨らみやすい特性を持っています。先行選手が直線の入り口で外へ流れることで、内側に絶好のコース(ビクトリーロード)がぽっかりと空き、そこを番手選手や別線の選手が突くことで「差し」が決まりやすくなるのです。
- レムニスケート曲線:出口で外に膨らみやすく、内側に差し場(スペース)が生まれやすい独特な形状。
- 緩やかなカント(全国29位):コーナーでの遠心力を使った加速が難しく、直線での純粋なタテ脚勝負になりやすい。
- 風の影響:吹きさらしの立地による風が先行選手の体力を奪い、追い込み有利な展開を作る。
【2着】「マーク」36.5%の衝撃!別線に飲み込まれないスジ決着の底力
立川は「差し」が有利だからといって、ラインが崩壊して荒れるばかりのバンクではありません。2着の決まり手データにおいて、「マーク」は36.46%と最多を記録しています。これは2位の「差し(30.72%)」、3位の「逃げ(18.19%)」を大きく上回る数字です。
このデータが示すのは、先行選手がゴール前で捕まったとしても、その直後を走る番手選手がしっかりと連対を確保する「ライン単位での決着(スジ車券)」がいかに多いかということです。
【クラス別攻略】S級とチャレンジ戦で「逃げ」の価値は180度変わる
同じバンクであっても、走る選手のレベルによって決まり手の傾向は完全に逆転します。これこそが、立川予想最大の盲点です。
S級戦は「差し」率58%!トップクラスの機動力に抗えない先行勢の苦悩
最高峰のS級戦では、立川のバンク特性が牙を剥きます。1着決まり手の統計によると、「差し」の割合は57.91%まで上昇します。対照的に「逃げ」で押し切れる確率はわずか17.96%にまで低下し、先行選手にとってはまさに「絶望の直線」となります。
S級戦においては「強い先行選手」よりも、その後ろで「虎視眈々と逆転を狙う追い込み選手」を軸に据えるのが、立川を制するプロの戦略です。
チャレンジ戦は「逃げ」が鉄板!脚力差がバンク特徴を凌駕する逆転現象
「立川は差し有利」という定説を信じて痛い目を見るのが、若手中心のチャレンジ戦(A3)です。このクラスでは、特定の条件下で驚異的なデータが出現します。競走得点1位の選手が3車ラインの先頭(逃げポジ1)で戦う場合、その勝率は68.1%、2連対率は88.3%に達します。
午前中のレース(チャレンジ戦)においては、バンクの特徴に惑わされることなく、純粋な脚力評価に基づき「最強の機関車」を信頼することが勝利への最短ルートとなります。
ライン独占率から導く「決まり手」の買い目戦略
3車ラインの1-2独占率!チャレンジ戦の33%とS級戦の21%の使い分け
3車ラインが形成された際の1着・2着独占率には、クラス間で明確な差があります。チャレンジ戦では33.10%と、3回に1回はラインワンツーで決まるのに対し、S級戦では20.83%まで低下します。
4車・5車ラインの出現:長いラインが演出する「二段駆け」のレアデータ
記念競輪などで稀に出現する4車以上の長いラインは、立川競輪において最強の「ボーナスステージ」となります。S級戦における4車ラインの1-2独占率は58.33%という、驚異的な数値を叩き出しています。
出走表で4車以上のラインを見つけたら、バンク特性を無視してでもそのラインの「差しーマーク(1着ー2着)」を厚く狙う価値が、統計データによって証明されています。
立川ガールズケイリン(L級):日本一過酷な滑走路を制する「捲り」の破壊力
「捲り」勝率46.2%!女子戦では直線よりもバックの仕掛けが勝敗を分ける
ガールズケイリンの1着決まり手は、「捲り」が46.18%と突出しています。男子の全体傾向(29.15%)と比較すると、立川ガールズにおける「捲り」の威力がどれほど大きいかが分かります。
ラインによる風避けがないガールズ戦では、先行して風を受け続けるリスクが男子以上に高くなります。その結果、58mの直線に入る前に、カントを利用して一気にスピードに乗せた捲り選手が前団を飲み込む展開が多発します。
2連対率82.1%!データが証明する実力上位選手の圧倒的安定感
「荒れる立川」のイメージとは裏腹に、ガールズ戦は非常に堅実な決着を見せます。統計データによると、上位人気選手の2連対率は82.11%、3連対率は90.42%と、鉄板級の安定感を誇ります。
立川競輪での競走得点1位の成績
【クラス別信頼度】S級の混戦を断つ軸か、ガールズ90%の銀行か?
立川の長い直線は、クラスによって本命選手の信頼度を劇的に変貌させます。全4,734レースの統計が示す、得点1位選手の生存確率は以下の通りです。
64.86%
65.50%
38.49%
- S級戦:実力が拮抗するS級では、得点1位であっても勝率は38.49%、3連対率は72.96%まで低下します。差し決着が57.91%と多く、逆転リスクが常に付きまといます。
- A級戦:勝率は37.53%程度。差しだけでなく「捲り」も28.83%決まり、自力選手の粘りがS級より目立ちます。
- チャレンジ戦:「逃げ不利」の定説が覆ります。特に3車ラインの先頭を務めた場合、勝率68.1%、2連対率は88.3%という鉄板数値を叩き出します。
- ガールズ:最も信頼度が高い「無双」の聖域。勝率64.86%、3連対率は驚異の90.42%を記録しています。
「実力×数の利」の極致:チャレンジ戦の鉄板とS級番手の罠
競走得点1位の選手がレース内での最長ライン(通常3〜4車)に入った場合、その信頼度はクラスとポジションの組み合わせによって劇的に変化します。
- S級:プロの技術が「最長ラインの番手」を無効化します。3車ライン先頭は勝率39.29%ですが、番手は勝率28%台の危険水域です。
- A級:3車ライン先頭は勝率50.81%と高い信頼度を誇りますが、番手に入ると勝率は27.72%まで低下します。
- チャレンジ:3車ライン先頭(逃げ)は勝率68.1%、2連対率88.3%。バンク特性を破壊する独走路となります。
孤高の王者は墜ちるのか?単騎連対率40%の苦境
最強選手が「数の利」を失い、単騎や短いラインで戦う場合、立川のデータは非常にシビアな現実を突きつけます。
- S級単騎:勝率31.82%、2連対率50.00%。2車ラインの番手(勝率15.38%)よりはマシですが、信頼度は低下します。
- A級単騎:最も脆いパターンです。勝率は24.74%、2連対率は36.08%に留まり、全体平均を大きく下回ります。
- チャレンジの死に目:非最長ラインの3番手に置かれると、勝率は0.00%、2連対率もわずか6.67%に沈みます。
-
狙い目
非最長ラインの先頭(3車 vs 4車以上)
自身は3車ラインの先頭だが、相手に4車以上のラインがいる場合、勝率は46.67%、2連対率は66.67%へ上昇します。
長いライン同士の主導権争いを一歩引いて見極め、「展開の利」を活かせる絶好のパターンです。
立川の得点1位選手は、「追い風を受ける巨大な帆船」のようなものです。
「最長ライン」という名の護衛艦がいなければ、58mの最終直線で伏兵に足をすくわれ、目前で沈没(逆転)してしまうリスクが常に付きまとっているのです。
まとめ:立川を攻略する「決まり手」の最終セオリー
立川競輪の「決まり手」データから導き出される最終結論は、「直線の長さという数字に惑わされず、級班ごとの力関係に従うこと」です。
- S
S級戦:先行選手には「地獄」。鋭い「差し」脚を持つ選手を軸に。 - A
チャレンジ戦:脚力差が全て。直線の長さを無視して最強の「逃げ」を信じる。 - L
ガールズ戦:広大なバンクを利した「捲り」が最強。上位人気の安定感を重視。 - 2
2着選び:「マーク」を基本に、S級では別線の強襲(スジ違い)を警戒する。
立川競輪の直線は、先行選手にとって「底なしの砂地」のようなものです。
漕いでも漕いでもゴールが近づかない感覚に陥る先行選手を、背後から音もなく忍び寄る追い込み選手が、あたかも獲物を捕らえる「隼(はやぶさ)」のように鮮やかに差し切る。
最後の1センチまで勝敗が分からない、競輪の醍醐味が詰まった場所なのです。
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